アポカリプティック・サウンド──終末の音、終末を告げる音。 鼓動にも、息吹にも似た、鈍く重い金属音が、大気を震わせながら町中に響いていた。 それはあの浮かぶ球体から一定の間隔で放たれ、この場を支配しているかのようだ。 ふと、一際大きな重低音が響き、あたりが静まり返る。 寄せては返す波音も、狂ったように騒ぎ立てていたセミの鳴き声も、ぴたりと止んだ。 空も海も、大地の全てもが真空に包まれたかのような無音。 次の瞬間、不気味で無機質な、合成機械音声が降り注いだ。 《これが球体、最も完璧です》 それは誰に向けられたわけでもなく、ただこの世界に“告げられた”。 ──同時に、あの巨大な球体“点P”が、ついに動き始める。 轟々と空気がうねり、海面を不自然に騒めかせ進行していく。 ゆっくりと、ゆっくりと。 絶望をその身に纏いながら。