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第4話:動く点P

アポカリプティック・サウンド──終末の音、終末を告げる音。

鼓動にも、息吹にも似た、鈍く重い金属音が、大気を震わせながら町中に響いていた。
それはあの浮かぶ球体から一定の間隔で放たれ、この場を支配しているかのようだ。

ふと、一際大きな重低音が響き、あたりが静まり返る。
寄せては返す波音も、狂ったように騒ぎ立てていたセミの鳴き声も、ぴたりと止んだ。

空も海も、大地の全てもが真空に包まれたかのような無音。

次の瞬間、不気味で無機質な、合成機械音声が降り注いだ。

《これが球体、最も完璧です》

それは誰に向けられたわけでもなく、ただこの世界に“告げられた”。

──同時に、あの巨大な球体“点P”が、ついに動き始める。
轟々と空気がうねり、海面を不自然に騒めかせ進行していく。

ゆっくりと、ゆっくりと。

絶望をその身に纏いながら。

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