点Pに対する攻撃計画がついに承認され、作戦実行の命令が下る。 同盟国の軍用機は既に遥か上空を旋回し待機しているらしい。 我々は作戦通り攻撃効果の検証のため、早期警戒機に搭乗し出撃した。 一方、作戦目標である点P は標高1000mを超える山脈に侵攻し、すでにその全形の殆どを潜り込ませていた。 《これが球体、最も完璧です》 定期的に闇夜に響く合成機械音声。 点Pに対する攻撃計画がついに承認され、作戦実行の命令が下る。 同盟国の軍用機は既に遥か上空を旋回し待機しているらしい。 我々は作戦通り攻撃効果の検証のため、早期警戒機に搭乗し出撃した。 一方、作戦目標である点P は標高1000mを超える山脈に侵攻し、すでにその全形の殆どを潜り込ませていた。 《これが球体、最も完璧です》 定期的に闇夜に響く合成機械音声。 巨大な異物の侵入に、山脈には亀裂が走り悲鳴を上げるかのように震えだす。 その地鳴りは、点Pが放つ鼓動のような重低音とも合わさり、およそ100km四方にも響き渡っていた。 この高度でも機体にビリビリと振動が伝わってくるのを感じる。 攻撃開始までの時間が刻々と迫る。 本作戦は、点Pが山脈を完全に貫いて姿を現したところに、地中貫通爆弾による集中攻撃を加えるというものであった。 攻撃計画がもっと早く承認されていれば・・・。 思わず同乗している技術屋に声を掛ける。 「“あれ”が潜っている今からでも攻撃できなかったのか?」 「地中貫通爆弾といえど、山の岩盤をやすやすと貫けるものじゃないさ」 眼鏡のレンズを袖でこすりながら彼が続ける。 「あくまで直撃を狙わないと。それで損傷を与えられるかどうか・・・だけどね」 言い終わると同時に本部からの報告が入る。 「対象、5分以内には攻撃予定地点に姿を現すと予想されます」 「了解、同盟国は対象を補足出来次第、攻撃行動に移るとのこと。我々は監視に集中しよう」 もうじき夜も明ける。 僅か先の未来に、我々にとって大きな分岐点がある。 緊張と高揚。 数秒が永遠に続くかのように引き延ばされる感覚。 神経が研ぎ澄まされていくのが分かる。 機体の駆動音、風を切る音、呼吸、心音、血流、そして──